ビールで骨が強くなる

骨量は高齢になると減っていき、骨粗鬆症になると脊椎がつぶれて、背骨が前に曲がってしまいます。すると身長が4~10㎝くらい低くなり、背中や腰の痛みに悩まされるようになります。とくに女性は、閉経後に女性ホルモンが減ることで骨量が減っていきます。

しかし、朗報です!

ビールを飲めば骨が強くなるのです。

 

骨の強度は、骨密度と骨質で決まる

骨はカルシウムでできているといったイメージがありますが、骨の約半分はコラーゲンというタンパク質が占めています。骨を鉄筋コンクリートに例えると、コンクリートがカルシウムで、鉄筋がコラーゲンに相当します。鉄筋に当たるコラーゲンの周りにカルシウムが均一に沈着することで、強くて骨折しにくい骨になります。

骨のカルシウム量である「骨量」も大事ですが、コラーゲンの強度である「骨質」も重要です。つまり骨の強さは、骨量と骨質で決まるのです。いくら骨量が多くても、骨質が劣化していると骨折リスクが高くなります。

菜食や粗食といったタンパク質が不足した食生活を続けていると、骨のコラーゲンが減って骨質が劣化してしまいます。また、酸化ストレスや睡眠不足や睡眠時無呼吸などによっても、コラーゲンが減って骨質が劣化していきます。

 

ビールは骨密度を高める

スペインのエクストラドゥーラ大学で、閉経直前の女性811人、閉経中の女性176人を含む健康的な女性1697人について調査しました。その結果、ビールを習慣的に飲んでいる女性のほうが、ビールを飲まない、あるいはワインを飲むという女性より骨密度が高いことが判明し、「適量ならばビールを飲むことは、女性の骨密度を高めるのに有効」と発表しました。そして、ビールに含まれる植物性エストロゲンが、骨密度を高めるのではないか、と報告しています。

骨密度を高める女性ホルモンに似た物質とは何でしょうか?

 

ホップ成分が骨量を増やす

戸部廣康博士は、1990年当時、ヘキスト・ジャパン社の創薬研究所で天然由来の化合物から骨粗鬆症の薬の開発に携わっていました。骨量を減らす「破骨細胞」の働きを抑える化合物を探していくなかで、「ホップに破骨細胞を阻害する強い作用がある」ことを見出しました。

そして、ホップに含まれるポリフェノールの「フムロンに、破骨細胞を活性化する核転写因子(NF-κB)の働きを阻害する作用がある」ことを突き止めました。

また、サッポロビール株式会社は、東京農業大学・応用生物科学部・栄養学科の上原万里子教授、鈴木和春教授、勝間田真一助教授らとの共同研究で、ホップの苦味成分イソアルファ酸(イソフムロン類)の還元体である「テトラヒドロイソアルファ酸」(THIAA)が破骨細胞の骨吸収を抑制して、骨密度の減少を抑える作用があることを実証しました。

つまり、ホップに含まれるポリフェノールのフムロンやTHIAAが、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用で骨量の減少を抑えているのです。

 

骨量増加作用が強いビール

コラーゲンにカルシウムが沈着して、強い骨ができます。その働きに欠かせないのが、ケイ素というミネラルです。

アメリカの代表的な疫学研究(フラミンガム研究)によると、「食事からのケイ素摂取量の差が骨密度に及ぼす影響は、カルシウムよりも大きい」と言われています。

ホップにはケイ素が含まれているため、ビールを飲めばケイ素を摂取できます。そして、ケイ素の含有量が多いビールほど骨量を増やす効果が高いということになります。

アメリカのカリフォルニア大学の研究チームは、ビールのタイプや製造方法によるケイ素含有量の違いに注目し、市販のビール100種類のケイ素含有量を調べました。その結果、「もっともケイ素の含有量が多いのはペールエール(IPA)で、ノンアルコールやライトビール、小麦ビールはケイ素含有量が少ない」ことが分かりました。

ケイ素を多く含んでいるIPAには、次のようなビールがあります。

  • いわて蔵ビールIPA(ホップを通常の4倍、麦芽を5倍使用した、世界でもっとも苦いビール)
  • インドの青鬼(通常の2倍以上のホップを使用したフルーティな香りがあるビール)
  • ベアードビール帝国IPA(ホップの個性が強く、麦芽とのバランスが良いビール)
  • 志賀高原ビールHouse IPA(通常のIPAの2倍のホップを使用したダブルIPA)
  • YOKOHAMA XPA(ホップを通常の4倍使用した柑橘系の香りがするビール)
  • パンクIPA(大量のホップを贅沢に使った至高のIPA)

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