アレルギーを改善する秘訣②皮膚バリア

アレルギー体質を改善するには、皮膚からのタンパク質の侵入を防ぐことが大事です。
それには、まず皮膚バリアを壊す要因をできるだけ排除することです。

皮膚バリアが壊れる要因

通常、皮膚からは異物が容易には侵入できないようになっています。皮膚は表面から順に、表皮→真皮→皮下組織という三層からできています。

一番表面にある表皮は「皮脂膜」という油膜に覆われていて、皮脂膜によって保湿と潤いが保たれています。ですから皮脂膜が薄くなると、肌の保湿性が低下して、荒れた状態になります。つまり、皮脂膜が『皮膚の第一バリア』です。

皮脂膜の下には「角質層」があって、これが『皮膚の第二バリア』です。

シャンプーや化粧品などに含まれている界面活性剤や化学物質が浸透できるのは、この角質層までです。ですから「皮膚から吸収された化学物質が、子宮などの臓器に蓄積される」などということはあり得ません。

コラーゲンも同じで、皮膚にいくらコラーゲン入りの化粧品を塗っても、真皮のコラーゲン繊維になるわけではありません。とはいっても角質層で水分を保持しますから、一時的には肌の潤いを保つ働きがあります。ただしコラーゲンは腐敗しやすいため、コラーゲン入りの化粧品は何らかの防腐剤を含んでいます。

 

表皮の内側には「真皮」があって、コラーゲン繊維がビッシリと結合して、異物を侵入させないようになっています。そしてコラーゲンのネット構造を、エラスチン繊維(弾性繊維)が補強して、肌の弾力性をつくっています

このコラーゲンとエラスチンのネット構造が、『皮膚の第三バリア』です。

真皮の60~80%は水分が占めていて、肌のみずみずしさの源にもなっています。水分を保持しているのは、ヒアルロン酸というゼリー状の物質で、コラーゲンとエラスチンのネット構造の隙間を満たしながら、お肌に潤いと柔軟性をもたらしています。

真皮=コラーゲン+エラスチン+ヒアルロン酸 ⇒潤い&弾力性

 

さらに真皮の内側には「皮下組織」があって、皮下脂肪によって体温を保護しています。

このように皮膚は、いくつものバリア機能によって異物が吸収されないようになっているのです。

この皮膚バリアが破壊されてしまうのは、なぜでしょうか?

 

①お湯

皮膚の第一バリアである皮脂膜を薄くする代表的な原因が、「過剰な入浴」です。

お湯に浸かると、皮膚がお湯で“ふやけ”ます

お湯でふやけた皮膚に、石けんやシャンプーを付けて擦るとどうなるか? 石けんもシャンプーも、水と油を溶かす作用がある「界面活性剤」ですから、皮脂が剥離して薄くなります。だから風呂上りには、皮膚がカサカサになるのです。

こうして皮膚が乾燥すると、かゆみや湿疹が出るのです。またカサカサになると、皮膚の角質層の隙間からアレルゲンが侵入しやすくなります。

 

手荒れの原因でもっとも多いのも、「お湯で食器を洗っている」ことです!

お湯で洗うと、手の皮脂がなくなってしまいます。だからカサカサになって、荒れるのです。

いくらお肌にやさしい洗剤を使っても、お湯で洗っているかぎり決して良くはなりません。では、どうすればよいでしょうか?

まず、食器の油汚れを「紙」でふき取りましょう!

そして「水」で洗えば、手が荒れないでしょう。

 

ところで、皮脂膜はどこでつくられているか、ご存知ですか?

実は、皮脂膜をつくってくれているのは、皮膚に棲んでいる細菌なのです。全身の皮膚には、「皮膚常在菌」と呼ばれる細菌群が1兆個も棲んでいて、その総重量は100グラムにもなります。皮膚常在菌は200種類以上も存在します。代表的なのは「表皮ブドウ球菌」で、ほかにもアクネ菌、真菌類(カビ・酵母)などがあります。

これらの皮膚常在菌が、皮脂腺から分泌される皮脂や汗を食べて、皮脂膜をつくっているのです。そして、その皮脂膜が弱酸性であることによって、有害な化膿菌から皮膚が守られているのです。病原性の多くはアルカリ性を好むため、弱酸性に保たれた皮膚に付着しても繁殖できないのです。つまり、皮膚常在菌が作った弱酸性の皮脂膜が、病原性細菌に対するバリアになっているのです。

ところが、入浴をして身体中の皮膚を洗いすぎると、皮膚常在菌が減ってしまいます。その結果、皮膚がアルカリ性に傾き、アルカリ性を好む病原菌が付着して、増殖することになります。

回虫博士で有名な藤田紘一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)の実験によると、入浴して石けんで身体を洗うと、皮膚常在菌の90%が死んでしまうといいます。それでも若い人ならば、12時間もすれば生き残った10%の菌が増殖して、もとの状態に戻ります。ところが、高齢になると、皮膚常在菌の発育が悪くなり、藤田先生の場合は20時間ほどもかかったそうです。これは、高齢になると皮脂の分泌が減るためだと考えられます。病弱な人やアトピー性皮膚炎の人も同じでしょう。

つまり、入浴すればするほど皮脂膜が薄くなり、皮脂膜をつくってくれる皮膚常在菌まで殺してしまうのです。皮膚を早く修復するには、なるべく入浴の頻度を減らすことです。つまり、シャワーで洗い流せばよいのです。

 

②化粧品

「化粧品」も、皮膚バリアを壊す大きな原因です。

化粧品には、「界面活性剤」が含まれています。

さらに化粧品や保湿クリームには、何種類もの「化学物質」が入っています。たとえば、以下にあげる成分がよく使われています。

水酸化ナトリウム」(NaOH)は、「カセイソーダ」のことです。こんな強アルカリ性の劇薬を肌に付けて、皮膚がきれいになるわけがありません。石けんをつくるのに使われる材料ですが、石けんの場合は洗い流します。保湿クリームは、皮膚に付いたままです。

乳化剤の「カルボマー」は、カルボキシビニルポリマーの略で、ビニールの重合体です。ビニールで皮膚を覆ったら、皮膚呼吸ができなくなるでしょう。

酸化チタン」は、これ自体が活性酸素を出しますから、炎症が悪化します。

防腐剤の「メチルパラベン」は、紫外線に当たるとシミやシワを促進します。

こういった化学物質は、きれいな皮膚をつくるのにまったく必要なく、ただ有害なだけです。細胞毒性がある化学物質が、きれいな皮膚をつくってくれるわけがありません。

そして肌から浸透した化学物質は分解できないため、体液を集めて濃度を薄めようとします。それが「かぶれ」です。

 

毛染め剤も、かぶれをおこす恐れがあります。「パラフェニレンジアミン」という染料は、毛染め剤のほかシャンプーにも配合されていることがあり、かぶれの原因となることがあります。

目薬やリップクリームなども、かぶれの原因になる場合があります。目の周りや口の周りがただれているという場合は、目薬やリップクリームの使用を止めてみましょう。

ちなみに、「目薬をさして染みるのは、有効成分が効いているから」ではありません。目薬にはたいてい防腐剤として、「塩化ベンザルコニウム」が配合されていて、これが粘膜を刺激して、染みて痛くなるのです。

塩化ベンザルコニウムは、除菌成分です。逆性石けんの主成分で、細菌の表面に速やかに結合して、細胞膜を破壊したりタンパク質を変性させたりして、結果的に細菌を殺すという成分です。病院で消毒薬として使われているほか、洗浄液や化粧品、脱臭剤、掃除機の紙パック、清浄綿など色々な製品に使われています。細菌を殺すくらいですから毒性が強く、誤飲すると嘔吐・下痢・筋肉のマヒなどを引きおこします。また、0.1%以上の水溶液は目を腐食し、1%以上の水溶液は粘膜を腐食し、5%以上の水溶液は皮膚を腐食して発疹やかゆみをおこします。また、塩化ベンザルコニウムを含む床用洗浄液を使用後に、室内に残留した成分を吸い込んで、ぜんそくを発症することもあります。

こんな除菌成分が入っている代表的な水溶液が、「ファブリーズ」です。霧状になって空気中に拡散された除菌成分が、臭いの元になる細菌をやっつけるだけでなく、私たちの皮膚や粘膜にもダメージを与えるのです。

 

植物性の成分でも、かぶれや接触性皮膚炎や薬疹の原因になるものがたくさんあります。「植物性」「天然成分100%・無添加」「オーガニック」だから安全というわけではないのです。いずれにしても、もし何かにかぶれたら、その原因物質が含まれている製品を使わないことです。

ただし使用を中止しても症状は、2週間は変わりません。なぜかというと、かぶれの原因物質を排出するのに、最低2週間はかかるからです。ですから中止して3日たっても何も変わらないからといって、「原因ではなかった」と判断してまた使ってはいけないのです。

とにかく「疑わしいものを2週間は使わない」ことです。

 

③精油

精油(アロマエッセンス)の皮脂膜を溶かす作用は、とても強力です。比較的刺激が少ないといわれるラベンダーでさえも、肌に付ければピリピリします。ピリピリするのは、皮脂膜が溶けているからです。ですから、精油をじかに肌に塗るなどもってのほかで、湯船に入れるのもいけません。

「オーガニック」とか「天然100%・無添加」だからよい、というわけではありません。オーガニックであろうと無添加であろうと、精油が皮脂を溶かす作用に変わりはなく、肌に塗れば間違いなく肌が荒れます。

 

精油は本来、香りを楽しむものですから、鼻から吸入すればよいのです。アロマポットを使ったり、お湯に入れて蒸気を立たせたりして使うのが理想的な使い方です。あるいはティッシュやハンカチなどに沁みこませて、近くに置いておくのもよいでしょう。

 

④金属

金属と汗が反応して、金属アレルギーになることがあります。

金属は、汗に触れると溶け出します。溶け出した金属がイオン化して身体のタンパク質と結び付くとアレルゲンとなり、かゆみやかぶれを引きおこします。

アレルギーをおこしやすい金属は、ニッケル・コバルト・水銀・クロムなどです。

なかでもニッケルは安価で加工しやすいため、ピアスやネックレス、腕時計やブラジャーなどに使われています。したがって、日常生活で長時間肌に触れることが多くなりがちです。とりわけピアスは、じかに血液や体液に触れるため金属アレルギーをおこしやすく、金属アレルギーの原因の約8割を占めています。

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