ビールで認知症を防げる

厚労省は2015年に、2025年には認知症を患う人が700万人を超えるという推計を発表しました。65歳以上の5人に1人が認知症になる、という計算になります。

日本人が発症する認知症の大半は、アルツハイマー型認知症と脳血管型認知症です。いずれも脳の神経細胞が死滅して、脳が萎縮していき、記憶力や判断力が著しく低下します。

しかし、朗報です!

「認知症を防ぐためにビールが有効」という研究が多数あるのです。

 

適量のアルコールは認知症を防ぐ

通常、アルコールを飲むと脳の神経が麻痺して、酔っ払った状態になります。血中アルコール濃度が0.1%を超えると呂律が回らなくなり、腰が抜けたようになって足取りが不安定になります。そして0.3%になると意識が朦朧として、抑止力がなくなります。

また、アルコールには利尿作用があるため、血液中の水分が減少することで血液がドロドロになります。そのため血管が詰まりやすくなって、脳梗塞や心筋梗塞を誘発する原因になります。

さらに、アルコールを分解する際にビタミンB1が大量に消費されることで、脳の神経細胞が破壊されて認知症を誘発すると言われています。

ところが、「少量のアルコールは認知症のリスクを減らす」という研究が多数あるのです。

1日に10g程度のアルコールは、認知症のリスクを減らす効果があることが、数多くの研究で証明されているのです。

 

ビールの抗酸化成分が神経細胞を守る

ビールは、麦芽とホップから作られます。ホップには「キサントフモール」や「イソフムロン」といったポリフェノールが含まれています。

キサントフモールには、抗酸化作用や心血管保護作用、前立腺ガンの抗ガン作用といった効果があり、活性酸素から神経細胞を保護する作用もあることが明らかになっています。

また、イソフムロンというポリフェノールには、アルツハイマー病を防ぐ作用もあることが明らかになっています。

アルツハイマー病の人の脳には、ベータアミロイドが蓄積しています。戸部廣康博士は、「ベータアミロイドを作る酵素を阻害する物質を見つけよう」と様々な抗酸化物質をブタの脳細胞に入れて実験を続けました。一般にアルツハイマー病に良いといわれているレスベラトロールやクルクミンなどでも脳細胞が次々と死滅していきましたが、イソフムロンを入れたら脳細胞の死滅がピタリと止まったといいます。

イソフムロンは、神経細胞に作用して神経成長因子(NGF)の生成を促して、神経細胞の樹状突起を形成させることが明らかになりました。つまりイソフムロンは、アルツハイマー型認知症でも脳血管型認知症でも、脳の神経細胞の死滅を防ぐのに有効なのです。

 

脳を活性化させる効果が高いビールは?

ビールには、キサントフモールやイソフムロンといった脳の神経細胞を保護するポリフェノールが含まれています。

これらのポリフェノールが多く含まれるビールは、一般的なビールより麦芽とホップを多く使って作られた「IPA(India Pale Ale:インディア・ペールエール)」で、そのIPAの2倍も含まれているのが「ダブルIPA」です。これらのビールは、苦味が強いです。

ダブルIPAには、ピルスナーウルケル(チェコ)、STONE Ruination IPA(アメリカ)、箕面ビール・ダブルIPA(日本)、BrewDogハードコア・インペリアルIPA(スコットランド)といったビールがあります。

 

ビールは栄養が豊富

ビールにはポリフェノールだけでなく、ビタミンやミネラルやアミノ酸も豊富に含まれています。

麦芽には、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、イノシトール、葉酸、パントテン酸、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、ナトリウムなどが豊富に含まれています。

ビール酵母には、必須アミノ酸や核酸、ビタミンB1、B2、B6、B12、食物繊維などが含まれています。

ビールには、ビタミンB群のほとんどが含まれているのです。これは、動脈硬化を防ぐために有効です。なぜならビタミンB6とB12と葉酸が、動脈硬化を引きおこす「ホモシステイン」の蓄積を防ぐからです。

そしてホップには抗酸化作用のほか、鎮静作用、催眠作用、抗菌作用、健胃作用、食欲増進作用などの薬理効果が認められています。

 

適量はどのくらいか?

適量は個人差があって、一概には言えません。

アルコールを分解するには、アルコール分解酵素(ADH)とアセトアルデヒド分解酵素(ALDH2)が必要です。両方とも十分に出る人は、アルコールに強いタイプです。アルコール分解酵素は出るけれど、アセトアルデヒド分解酵素はあまり出ない人は、飲むと顔が赤くなるタイプです。そして両方とも出ない人は、まったく飲めないタイプです。アルコール分解酵素やアセトアルデヒド分解酵素が出る量は遺伝子によって決まるので、肝臓の良し悪しとは関係ありません。

平均的なアルコール代謝能があって、ほどほど飲める人の場合、どのくらいが適量なのでしょうか?

米国保健科学協議会(ACSH)が、各国の研究報告をまとめて分析したところ、「ビール350ml缶を2~3本程度飲んでいる人たちが、もっとも心臓血管疾患のリスクが低い」という結果が出ました。

また、ハワイの日系人男性の調査では、「中年時代の非飲酒者と大量飲酒者が高齢になったときの認知機能がもっとも低下しており、反対に1日にビール350mlを1本以下の飲酒量でもっとも認知機能の低下が少なく、少量または中等量の飲酒は高齢になって認知機能が低下する危険性を22~40%下げる」という結果でした。

つまり、ビール350ml缶1~3本が適量といえるでしょう。

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