天然の抗ガン物質 IP6

IP6の抗ガン作用

IP6(イノシトール6リン酸)の抗ガン作用は、米国メリーランド大学医学部のシャムスディン教授によって明らかになりました。シャムスディン教授は動物実験で、IP6が大腸ガンの発生を抑えることを証明しました。

その後、IP6の制ガン作用は大腸だけでなく、乳ガン、肺ガン、肝臓ガン、皮膚ガンなどでも次々と確認され、さらに、心臓病、腎臓結石、高脂血症、糖尿病といった病気に対しても予防・治療効果があることが明らかになりました。

しかし、IP6が直接ガン細胞を死滅させるわけではありません。IP6には細胞障害性はなく、ガン細胞でも正常細胞でも、細胞を殺す作用はありません。したがって、抗ガン剤のような毒性はありません。IP6は、ガン細胞が無秩序に増殖するのを阻止し、正常化させるのです。

イノシトールはビタミンB複合体の一種で、体内ではブドウ糖から1日に約4g生成されています。細胞膜を構成するリン脂質の重要な成分で、とりわけ神経の細胞膜に多く含まれています。脳細胞への栄養補給や正常な神経機能の維持などといった役割を担っていますが、とりわけ重要なのは、『イノシトールがガン細胞の増殖と成長のコントロールに寄与している』ことです。

IP6はイノシトールに6個のリン酸が結合したもので、細胞の“異常な増殖”を抑制します。ガン細胞の増殖を促す遺伝子は、AP-1という酵素を活性化させます。IP6は、AP-1酵素の働きをブロックすることによって、ガン細胞の分裂・増殖を抑制するのです。イノシトールはIP6と協同的に働いて、『細胞分裂を抑制する作用』をさらに増強させます。

そしてIP6は、ガン抑制遺伝子p53の発現を最大7倍まで増幅させます。

またIP6は、ガンと戦うリンパ球:NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)の活性を増強させます。

さらに、IP6は非常に強い抗酸化力があり、活性酸素を5分の2以下に抑えます。

IP6&イノシトールのその他の効果

IP6とイノシトールには、次のような効果もあります。

腎臓結石の形成を防ぐ。

動脈のプラークを取り除く。

糖尿病の合併症を防ぐ。

肝臓に蓄積した脂肪を減少させる。

・血液中の中性脂肪を減少させ、血栓の形成を防ぎ、動脈硬化や心筋梗塞などを防ぐ。

うつ病やパニック障害などの精神神経障害に対して、穏やかな抗不安作用がある。

・アスベストに暴露された肺の炎症と繊維化を抑制する。

 

食品に含まれるIP6は吸収されない

IP6は、穀類や豆類の外皮に多く含まれていますが、玄米や米糠や小麦のふすまや大豆などを食べても吸収されません。食物中に含まれるIP6はタンパク質と結合しているため、消化酵素によって壊れてしまうからです。タンパク質と結合していない純粋なIP6であれば、胃腸から速やかに吸収されて、1時間以内に全身の様々な臓器に分布します。

 

参考文献:『天然の抗ガン物質IP6の驚異』AbulKalam M. Shamsuddin, M.D., Ph.D.著 坂本孝作訳(講談社ブルーバックス)

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