運動は、もっとも安全なストレス解毒剤

精神的ストレスによって、胃が痛くなったり心臓がバクバクしたり眠れなくなったりなど、様々な自律神経の失調症状がおきます。

精神安定剤や睡眠薬や抗うつ剤などを長期にわたって飲み続けると副作用の恐れもあり、離脱するのも困難です。

しかし、運動をすれば薬と同等の効果が得られるのです。

 

ストレス反応

ストレスを受けると、体内でどのようなことがおきるのでしょうか?

ストレスを受けて最初に反応するところは、脳の大脳辺縁系にある「扁桃体」です。

扁桃体は、危険を感じると興奮してアラームを発します。

すると、「視床下部→脳下垂体→副腎」と司令が伝わって、「コルチゾール(副腎皮質ホルモン)」が分泌されます。そして、コルチゾールによって様々なストレス反応がおきるわけです。

例えば、胃腸の具合が悪くなって腹痛や下痢や便秘になったり、動悸がしたり、夜眠れなくなったり、体重が増えたり、血圧や血糖値が高くなったりなどといった症状が引きおこされます。

さらに、血中のコルチゾールの量が多い状態が続くと、記憶の中枢である「海馬」が萎縮していきます。また、理性や創造力やコミュニケーション能力の中枢である「前頭前野」も萎縮していきます。そのため、物覚えが悪くなり物忘れが多くなり、意欲や集中力や創造力や判断力などが低下し、対人関係も悪くなります。その結果ますますストレスが増大して、うつ病や認知症になってしまうのです。

これが、ストレスによって病んでいくメカニズムです。

 

運動は、ストレス反応を抑制する

ストレス反応は、まず扁桃体が興奮することから始まります。

扁桃体の過剰な興奮を抑えているのが、「海馬と前頭前野」です。海馬からGABA(Gamma Aminobutyric Acid:γアミノ酪酸)が分泌されて、扁桃体の興奮を抑えるのです。

ところが、ストレス反応によってコルチゾールが多量に分泌されると、海馬と前頭前野が萎縮していき、扁桃体の興奮を抑えることができなくなってしまいます。するとストレスに弱くなり、ストレスによる悪循環に陥ることになります。

 

しかし運動をすれば、この悪循環を断ち切ることができるのです。

運動をすると、海馬と前頭前野の細胞が増えるのです。それによって、扁桃体の興奮を抑えることができるようになるのです。

海馬と前頭前野の細胞を増やすのは、BDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor:脳由来神経栄養因子)というタンパク質です。BDNFは脳の細胞新生を促し、脳の神経ネットワークを強化していきます。そのため、BDNFが増えると脳の働きが全般的に高まり、うつ病も改善されるのです。

このBDNFをもっとも増やすのは、運動です。

運動するとBDNFが増えて、海馬や前頭前野の細胞が増えるのです。

身体を動かせば、海馬や前頭前野が成長して大きくなるということです。

その結果、海馬からGABAが分泌されて、扁桃体の興奮から始まる一連のストレス反応が抑えられるのです。また、記憶力や判断力も高まり、脳全般の働きも高まるのです。

また、運動するとセロトニンやドーパミンの分泌も増えるので、精神が安定して、意欲(やる気)も高まります。

さらに運動すると、筋肉から「キヌレニン」を無毒化する物質が分泌されますキヌレニンは、脳の免疫細胞が暴走することで生成される神経毒で、キヌレニンが脳の神経細胞を破壊することでセロトニンの生成と伝達ができなくなって、うつ病になります。そのキヌレニンを無毒化する物質が、運動すれば筋肉から出るのです。

つまり、運動すれば脳を守れるのです。

 

有効な運動強度と時間

どんな運動が、もっともBDNFを増やすのに有効なのでしょうか?

それは、「心拍数を上げる有酸素運動」です。

もっとも効果が高いのは、最大心拍数(220-年齢)の70~75%の心拍数になる運動を、20~30分連続して行なうことです。これを、週に3回以上行えばよいのです。

具体的には、ランニングや早足、サイクリングやエアロバイクといった運動です。

しかしランニングや早足をすると、腸管が揺さぶられることで「腸温」が上がってリーキーガットが助長する恐れもあります。また、足腰を痛めている人は行えません。サイクリングは事故の危険性もありますし、天候が悪いと出かける気にならないでしょう。

ということでお勧めの運動は、エアロバイクです。天候に左右されず、事故に遭う心配もなく、足腰が痛くてもできて、運動の強度も自由に変えられます。自宅のわずかなスペースでできる最強のストレス解消法が、エアロバイクなのです。

 

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