偏頭痛の原因は「腸」にあった!

3大慢性頭痛

3大慢性頭痛といわれるのが、緊張型頭痛・偏頭痛・群発頭痛です。

緊張型頭痛は、頭が締めつけられるような痛みや頭重感で、入浴やマッサージや運動によって痛みが軽減します。原因は、『首や肩のコリと精神的ストレス』と言われていますが、根底には『低血糖』があります。

偏頭痛は、コメカミが心臓の拍動に合わせてズキンズキンと脈打つもので、入浴やマッサージや運動などによって悪化します。

群発頭痛は、片目の奥がえぐられるような、あるいはキリで刺されたような激しい痛みで、1~2ヶ月にわたって毎日のようにおきる頭痛です。

偏頭痛と群発頭痛の原因は何でしょうか?

 

偏頭痛の正体は「血管の拡張」

偏頭痛は、『脳の血管の拡張』であることが明らかになっています。

なぜ、脳の血管が拡張するのでしょうか?

現在分かっているのは、『脳のセロトニンが急激に減少することによって、三叉神経からCGRPとプロスタグランジンが放出されて、脳の血管が拡張し炎症がおきる』ということです。

CGRP(Calcitonin Gene-Related Peptideの略:カルシトニン遺伝子関連ペプチド) は、「脳の血管を拡張させる物質」です。
 プロスタグランジンは、「痛みを増強する物質」です。

つまり、『脳内セロトニン減少→三叉神経から血管拡張物質と痛み増強物質が放出→脳の血管拡張と炎症→偏頭痛』となります。

群発頭痛も偏頭痛と同じ理由で、目の奥の血管が拡張しておきます。

 

偏頭痛の特効薬「トリプタン」

脳のセロトニンが急激に減少することによって、偏頭痛がおきるのです。

ですから脳内セロトニンの減少を防げれば、偏頭痛を防ぐことができるわけです。

また、脳内セロトニンの減少は、PMS(生理前症候群)やうつ病の原因にもなります。

現在、偏頭痛治療の主役になっている「トリプタン製剤」は、『三叉神経に作用するセロトニン類似物質』です。三叉神経のセロトニン受容体にトリプタンが結合することで、三叉神経からCGRPやプロスタグランジンが分泌されるのを防ぐのです。

偏頭痛がおきたらすぐにトリプタンを飲めば、三叉神経の異常興奮が抑えられて、脳の血管拡張が治まります。トリプタンは、群発頭痛にも有効です。

 

脳内セロトニンが減少する原因は「腸」にあった!

トリプタンで三叉神経の異常興奮を抑えても、脳内のセロトニンが減少していることに変わりはありません。脳内セロトニンは、なぜ減少してしまうのでしょうか?

その根本原因は、腸にあります! つまり『リーキーガット』です。

リーキーガットとは、『腸粘膜の栄養を吸収する細胞同士の結合がゆるんだ状態』です。

リーキーガットになると、本来なら吸収されない未消化なタンパク質や腸内細菌が血液に侵入してしまいます。

すると腸管の免疫細胞が「異物が侵入した」と判断して、その異物を排除しようとして、軽度の炎症(慢性炎症)がおきます。この炎症は、痛みや発熱などの症状はありませんが、血液中の「炎症性サイトカイン」が増加します。サイトカインとは免疫細胞のメッセージ物質で、炎症性サイトカインのメッセージは「炎症をおこせ!」です。

つまり、リーキーガットになると、血液中に「炎症性サイトカイン」が増えることで、全身のあらゆる箇所に炎症がおきやすくなるのです。

リーキーガットによって増加した炎症性サイトカインは脳にも入り込み、脳の免疫細胞「ミクログリア」を活性化します

活性化したミクログリアは、神経細胞に「キヌレニン」を生成させます

キヌレニンは、セロトニンを減少させます

そして神経細胞を害し、過剰に興奮させて消耗させて、最終的には殺してしまいます。

そのため、セロトニンの神経伝達ができなくなってしまいます。

その結果、偏頭痛やPMSやうつ病などが引きおこされることになります。

 

リーキーガットの最大原因は「痛み止め」

リーキーガットによって増えた炎症性サイトカインが、脳内の免疫細胞「ミクログリア」を活性化させることで「キヌレニン」が生成されて、セロトニンが減少するわけです。

リーキーガットの原因となる3大食品成分は、『小麦毒(グルテン)・大豆毒(レクチン)・果糖』です。

そして、これら以上に腸にダメージを与えるのが、『痛み止め』です。

バファリンやロキソニン、イブプロフェンなどといった痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛剤)は、痛みを増強させる物質「プロスタグランジン」の生成を抑えることによって痛みを軽減します。

ところがプロスタグランジンには、『胃腸の粘膜を守る』という作用もあるのです。

痛み止めによってプロスタグランジンが減ると、胃腸の粘膜を保護する働きが低下して、胃潰瘍や胃炎やリーキーガットになりやすくなるのです。

と、薬理学の本には説明されていますが、それだけではありません。「強力な酸で、粘膜がただれてしまう」のです。

痛み止めの原点は、柳の樹皮です。古代ギリシャ・ローマの時代から、柳は痛み止めとして使われてきました。1826年に、痛みを抑える成分がサリチル酸であることが分かりました。サリチル酸は魚の目やタコの角質でも溶かしてしまうほど強力な酸なので、飲むと胃の粘膜がただれてしまいます。そこで酸を少し緩和したアセチルサリチル酸が作られ、1897年にアスピリンとして販売されました。サリチル酸よりマイルドになったとはいえ、胃の粘膜がただれる作用がなくなったわけではありません。その後アスピリンからさらに、ロキソニンやイブプロフェンなど様々な痛み止めが開発されました。すべてサリチル酸の変形ですから、基本的には強力な酸であることに変わりはないのです。ですから胃薬で胃は守れたとしても、腸までは守れずリーキーガットになってしまうのです。

つまり、偏頭痛をいち早く抑えようとして痛み止めを飲むことによって、リーキーガットが助長して、さらに偏頭痛がおきやすくなっていくわけです。そして偏頭痛がおきる頻度が高まっていき、それとともに痛み止めを飲む回数も増えていって、最終的に「薬物乱用頭痛」になります。

こういった悪循環を断つ最大のカギは、『痛み止めを飲むのを止める』ことにあります。

トリプタンは血管の拡張を抑えるだけで痛みを軽減させる効果はないため、つい痛み止めも併用してしまいがちですが、そこをしばらく我慢して『血管の拡張が治まるまで待つ』ことが、悪循環を断つためにきわめて重要なのです。

身体を動かしたり、入浴したり温めたりマッサージしたりするのは、血管の拡張を助長するので逆効果になります。偏頭痛がおきたらすぐにトリプタンを飲んで、できるだけ静かで薄暗いところで休んでいるのが、一番良い対処法です。

 

「痛み止め」は脳圧も上昇させる!

痛み止めは、胃腸の粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑えることと、強力な酸によって、リーキーガットを助長します。すると血液中の炎症性サイトカインが増えることによって、脳内の免疫細胞が活性化して神経毒「キヌレニン」が生成されます。その結果、脳内セロトニンが減少して、偏頭痛がおきることになります。

さらに痛み止めは、『レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系』を活性化して、血液量が増えて血圧が上がることによっても偏頭痛をおきやすくします。

『レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系』とは、次のようなシステムです。

痛み止めは、腎臓の糸球体に血液を入れる「輸入細動脈」を収縮します。すると、糸球体の血流量が減少します。そうすると、腎臓からレニンが分泌されます。

レニンが分泌されると、血液中のアンジオテンシノーゲンがアンジオテンシンⅠに変わります。さらに肺のACE(アンジオテンシン変換酵素)によって、アンジオテンシンⅡに変わります。アンジオテンシンⅡは心臓のポンプ力を強めて、血圧を上げます。

また副腎に作用して、アルドステロンの分泌を促します。アルドステロンは、腎臓の尿細管の再吸収を促して、血液量を増やします。

このように痛み止めによって、血液量が増えて血圧が上がるのです。そのため、脳の血液量が増えて脳圧が高くなるため、偏頭痛がおきやすくなるのです。

この悪循環を断つためにも、『痛み止めを飲まない』ことが大事なのです。

 

セロトニンを増やすもの

セロトニンを増やすものは、次の4つです。

 

①朝食のタンパク質

セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から作られます。

とりわけ朝食に、トリプトファンが含まれている肉や魚や卵や納豆などを摂ることが、セロトニンの生成を促します。

 

②太陽光

セロトニンは、光に当たることによって生成されます。したがって、ずっと薄暗いところにいるとセロトニンが生成されません。つまり、朝食にトリプトファンを含むタンパク質食品を摂って、日中に陽の光に当ることによってセロトニンが作られるのです。

室内は、照明でどんなに明るくしても、曇っている野外よりはるかに光量が少ないのです。セロトニンを増やすには、午前中から午後3時くらいの間に、少なくとも30分程度は野外に出ることが重要です。

さらに散歩をするなど、リズミカルに身体を動かすとより効果的です。

 

③ビタミンD

ビタミンDには、活性型と非活性型の2種類があります。

より大事なのは非活性型のほうで、ここから活性型ビタミンDをはじめ、抗菌物質や抗ガン物質や免疫力を正常化する物質などが生成されます。

そして、『神経を保護する作用』もあります。

神経細胞にはビタミンDの受容体があり、脳内で神経細胞の分化・増殖に関与しています。例えば、「神経細胞成長因子(NGF)」や「脳由来神経栄養因子(BDNF)」といった脳の神経細胞を修復・成長させる物質の生成を促して、ストレスやショックで傷ついた脳組織の再生・修復を促します。

またビタミンDには、活性酸素の害から神経細胞を保護する作用もあり、神経線維を保護する皮膜である「ミエリン」を作る材料にもなります。

ですからビタミンDが不足すると脳のダメージが蓄積して、季節性うつ(SAD)を発症しやすくなり、過睡眠・嗜眠・糖質願望(甘いものを異常に欲しがる)・サーカディアン・リズム(日周期リズム)の変調などといった症状が現れます。

非活性型ビタミンDは、主に魚貝類とサプリメントから摂取できます。推奨されている摂取量は、1日あたり1000~4000IUです。脂溶性のビタミンなので、食事(油脂)と一緒に摂ることで効率よく吸収されます。

 

④マグネシウム

偏頭痛を治すためにもっとも重要なミネラルが、マグネシウムです。

セロトニンの生成と機能は、マグネシウムに依存しているからです。

しかし、不足しやすいミネラルです。なぜかというと、ストレスによってマグネシウムが消耗されてしまうからです。

マグネシウムが欠乏するだけでも脳が強く興奮して、不安神経症やうつ病が引きおこされます。

またマグネシウムは、首や肩の筋肉の緊張をゆるめる作用があります。

反対にマグネシウムが不足すると首や肩の筋肉が緊張して、それが偏頭痛を誘発します。

マグネシウムは魚貝類に豊富に含まれていますが、腸からの吸収率はあまり良くなく、だいたい50%程度しか吸収されません。

サプリメントになるとさらに吸収率は低くなり、わずか4%ほどしか吸収されません。そのため多量に摂取しても下痢になるだけで、脳にマグネシウムを補うことは望めません。

ところが、皮膚からは100%吸収されるのです! したがってマグネシウムの補給には、ローションが最適なのです。しかし、濃度が高いと肌がガサガサに荒れてしまいます。

そこで私は、できるだけ濃度が薄くて浸透性が高く、ヒアルロン酸やセラミドなどの保湿成分を配合した『ロイヤルアメイジング・ローション』を開発しました。

『ロイヤルアメイジング・ローション』(120ml入)を毎週1本~2週間に1本程度すり込むことで、マグネシウムを効率的に補うことができます。

 

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リーキーガットを改善する食事

脳のセロトニンを増やすには、脳の免疫細胞の暴走を抑えることが必要で、それにはリーキーガットを改善して『炎症性サイトカインを減らす』ことが重要です。

しかし、それには年数がかかります。リーキーガットを助長する生活を20年も30年もし続けてきた人が、食事を改善したからといって数ヶ月で修復されるはずはなく、少なくても3年はかかると考えるべきでしょう。

 

リーキーガットを改善していくための食事が、『ディフェンシブ・フード』です。ディフェンシブ(defensive)は「防御的な」という意味で、胃腸を守る食事です。

基本は、『小麦毒(グルテン)・大豆毒(レクチン)・果糖』をできるだけ避けることです。

また、オリーヴオイルや赤ワイン、カカオなどに含まれるポリフェノール、大豆に含まれるイソフラボン、ゴマに含まれるリグナン(セサミン)などは血管を拡張させる作用があるため、あまり摂らないほうがよいでしょう。

 

リーキーガットの修復を助けるサプリメントが、『ガットサポート』です。

リーキーガットの原因となるレクチンやグルテンを吸着して排出させるグルコサミンとともに、ガスを発生させる腸内細菌を減らすハーブ、腸壁の修復を促すアミノ酸(グルタミン)、そして非活性型ビタミンDを配合したサプリメントです。

 

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カリウムを十分に摂ること

カリウムを摂取することも重要です。

偏頭痛がおきる前は、ストレスで緊張していることが多いでしょう。そして、緊張がゆるんでホッとしたときに偏頭痛がおきやすいのです。ストレスによって、カリウムが減っていくからです。

ストレスを受けると、脳からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されます。

すると、副腎から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が分泌されます。

コルチゾールは、カリウムの排出を促します。

反対に、血液のナトリウムが増えるので、血液量が増加して血圧が上がります。

その結果、脳圧が上昇するので、脳の血管が拡張しやすくなります。

こうしてストレスによってカリウムがどんどん排出されていくので、ストレスが多いほどカリウムを多く摂取する必要があるのです。

カリウムは、筋肉の弾力性・張力を司るミネラルです。ですからカリウムが不足すると、筋力が低下して首や肩のコリが強くなり、それが偏頭痛を誘発します。

カリウムは野菜や果物に多く含まれていますが、野菜や果物をたくさん食べると腸内ガスが多く発生し、果糖も多く摂ることになります。腸内ガスをあまり発生させず、果糖が含まれないもので、カリウムが豊富な食品が望ましいでしょう。

例えば、アボカド、ジャガイモ、肉や魚、海藻です。

 

アボカドには、100gあたり720㎎もカリウムが含まれています。アボカド1個は約120gですから、半個食べれば432㎎くらい摂れます。

また、「森のバター」とも言われる良質な脂肪とビタミンEも豊富で、さらに赤血球をつくるのに欠かせない葉酸も豊富に含まれています。

 

ジャガイモも、カリウムが豊富に含まれています。ジャガイモには、100gあたり410㎎もカリウムが含まれています。中くらいの大きさのジャガイモを半分食べれば、328㎎のカリウムを摂取できます。またビタミンCも豊富で、デンプンと結合しているため熱で破壊されにくいため、ビタミンCを効率よく摂取できます。

ただし、油で揚げないことが重要です。油で揚げると「アクリルアミド」という発ガン性物質が生成されてしまうからです。ノンフライヤーで加熱すると、油で揚げるより高温になるため、さらに多くのアクリルアミドが生成されてしまいます。

ですからフライドポテトやポテトチップス、コロッケなどはNGで、茹でるか蒸かして食べるのが安全です。

ちなみに、芽には猛毒「ソラニン」が含まれていますので、芽はなるべく大きく深く取り除くことが重要です。また、皮が緑色になったジャガイモや、未熟なミニジャガには全体にソラニンが充満していますから、丸ごと捨てましょう。ソラニンは煮汁にも溶出し、いくら加熱しても毒性がなくなることはありません。

 

肉や魚にもカリウムが含まれていて、とくに多いのは豚肉と鮭です。

豚肉には100gあたり250㎎、鮭には100gあたり350㎎もカリウムが含まれています。豚肉には血管の拡張を抑えるビタミンB2が多く、鮭には抗酸化力が高いアスタキサンチンも含まれています。

 

海苔もカリウムが豊富で、100gあたり2400㎎も含まれています。海苔には、ビタミンCやカルシウム、マグネシウム、さらに赤血球をつくるのに欠かせない鉄とビタミンB12も含まれています。

 

また、「松原式補水液」もカリウムをたっぷり補給できます。

 

<松原式補水液>

水/お湯:500ml

やさしお:2g (自然塩と塩化カリウムを半々ずつブレンドした塩)

ブドウ糖:10g

クエン酸:少々

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