もみ壊さない首・肩のゆるめ方
首が痛くなったり肩が凝ったりしたら、首や肩を揉んだりストレッチをしたりするのが普通でしょう。ところが、そういった方法で首や肩がゆるむことはなく、かえってコリや痛みを増強させてしまうのです。また、「血栓症」のリスクもあるので危険でもあります。
首や肩を安全にゆるめる秘訣を解説しましょう。
押したり揉んだりするのは危険!
首や肩をギューギュー押したり、首を捻ってバキバキと鳴らしたりしても、首がゆるんで柔らかくなることは決してありません。コリや痛みが、さらに強くなってしまうだけです。
硬くなった筋肉を押したり揉んだりすると、筋肉のなかの微細な血管が破れて「内出血」するからです。これが「もみ返し」がおきる理由です。もみ返しというより「もみ壊し」というほうが適切でしょう。
もみ壊しを何度もくり返していると、筋肉がどんどん硬くなっていき、ついには「亀の甲羅」のようになってしまいます。つまり、揉めば揉むほど筋肉が硬くなっていくのです。
また、もみ壊されると、出血を止めるために血小板が凝固します。そして血管が修復されると、凝固した血小板がはがれて血流によって全身に巡ります。これが「血栓」です。
この血栓が脳や心臓や肺の細い血管に詰まると、脳梗塞や心筋梗塞や肺動脈塞栓症などを引きおこします。
つまり押したり揉んだりするのは、きわめて危険な行為なのです。
日本子孫基金の会報誌「食品と暮らしの安全」(2003年8月No.172)の編集後記に、こんな体験談が載っていました。
「5月にサウナでマッサージにかかったら強く揉んでくれ、得したと思ったら、その夜から股関節が動かなくなった。1週間の休みは覚悟したが、結局、全治3ヶ月のケガと同じ結果に…(後略)」
コリや痛みを押したり揉んだりすると、ますます硬くなって痛みが強くなり、場合によっては血栓症をおこしかねないのです。
ストレッチすると筋肉が硬くなる!
「ストレッチすると、筋肉が柔らかくなる」というのは、思い込みにすぎません。
ストレッチして伸ばしている筋肉を触ってみれば、すぐにわかります。驚くほど硬くなっているはずです。ストレッチをすると、筋肉は硬くなるのです!
硬くなれば、動きも悪くなります。ためしにアキレス腱のストレッチをしたあとに、ダッシュしてみましょう。足首の動きが悪くなって、走るのが遅くなるでしょう。だから、短距離選手がスタート前にアキレス腱のストレッチをすることはありません。手足をブラブラ振っているだけです。
筋肉が硬くなって動きが悪くなるだけでなく、痛みが強くなることもあります。
実際、ストレッチによって、25年間も腰痛で苦しんだ元競輪選手がいます。
彼は、競輪選手だった頃に腰を痛めて以来、治療院を100箇所以上行ったのにまったく良くなりませんでした。選手を辞めてからも良くならず、ついには15分歩いたら一休みしなければならないほど、腰痛がひどくなってしまいました。
私が教えた「背骨を反らせる運動」を毎日続けたら、25年間何をしても治らなかった腰痛と肩コリが、わずか2週間ほどで治ってしまいました!
彼は「身体が硬いからギックリ腰になる」と思って熱心にストレッチして、何度もギックリ腰をくり返して、どんどん悪化させていたのです。
そもそも凝っている筋肉は「縮んで硬い」のではなく、「膨張して硬い」のです。
タイヤを考えると分かりやすいでしょう。タイヤが、重い重量を支えて道路を走れるのは、空気によって膨らんでいるからです。空気圧によって硬くなっているタイヤを、引っ張って伸ばしても柔らかくなるわけないでしょう。
タイヤを柔らかくするには、空気を抜けばよいのです。
筋肉も同じです。筋肉を膨張させているのは、筋肉のなかにたまった「疲労物質」です。
筋肉を柔らかくするには、筋肉にたまった疲労物質を排出すればよいのです。
筋肉にたまった疲労物質を排出するには、筋肉を縮めればよいのです。
水を含んだ雑巾やタオルをいくら引っ張っても、水をしぼり出すことはできません。水を出すには、縮めなければなりません。筋肉も同じで、縮めて疲労物質を出せばよいのです。
「縮めると血流が悪くなるのでは?」と思うかもしれませんが、事実は逆で、ストレッチして伸ばすから血流が悪くなるのです。
ゴムチューブを引っ張ると、チューブがつぶれて液体の流れが悪くなります。血管も同じで、伸ばせばつぶれて流れが悪くなるのです。反対に、縮めれば径が太くなって流れやすくなるのです。
ロープがピーンと張った状態が「緊張」です。ロープを強く引っ張っても硬くなるだけで、劣化したロープなら切れてしまうでしょう。反対に縮めればロープがたるんで、柔らかくなります。
筋肉も同じで、緊張して硬くなった筋肉をいくら伸ばしても、決して柔らかくはなりません。柔らかくするには、縮めればよいのです。
また、「ストレッチをすると筋力も低下する」という研究データも発表されています。
テキサス大学の調査では、「ある筋肉をストレッチすると、ストレッチしていない筋肉も弱くなる」といいます。たとえば左脚のストレッチをすると、ストレッチしていない右脚の筋力も弱くなるというのです。
さらに、クロアチアのザグレブ大学の研究チームが、プロのアスリートらを対象に調査して、「45秒以上の静的ストレッチにより、筋力は平均5.5%ダウンし、跳躍力や瞬発力も平均3%ダウンした。ストレッチを90秒以上すると、筋力はさらに顕著な低下を見せた」という結果を発表しています。
スポーツ科学誌『The Journal of Strength and Conditioning Research』でも、「ストレッチの後は、ウエイト・リフティングで上げられる重量が8.3%減少した」という報告が掲載されています。[i]
ストレッチすると筋肉や腱が柔軟になって、運動のパフォーマンス向上やケガの予防につながるというイメージがありますが、実は筋肉が瞬発力を失う原因になり、ケガのリスクが高まるのです。
バキバキ鳴らす施術は超危険!
首を捻ってバキバキ鳴らす施術は、きわめて危険です! 実際、そうした施術による事故も多数おきています。
2016年に、アメリカの人気モデルのケイティ・メイさんが、34歳という若さで急死しました。
彼女は、アメリカ「PLAY BOY」の専属モデル“プレイメイト”として絶大な人気を誇り、また若者の人気SNS「スナップチャット」でも抜群の人気を博して“スナップチャットの女王”とまで呼ばれていて、シングルマザーとしても一人娘のミアちゃんの子育て中でした。
死後およそ半年たってロサンゼルス郡検視局が発表した死因は、カイロプラクティックでした。カイロプラクティックで首を急激に捻ったことによって、頚椎内を通って脳に血液を送る「椎骨動脈」が裂傷し、そのため数日後に脳卒中をおこし、間もなく死亡したということです。
首を急激に捻ることは、椎骨動脈を傷つけるだけでなく、脊髄を損傷して全身麻痺になってしまう恐れもあります。そんな危険を冒してバキバキ音を鳴らしても、首がゆるむわけではありません。首を捻ってバキバキ音を鳴らすと、頚椎の周りの靭帯が急激に伸ばされることによって、かえって痛めてしまいかねません。
つまり首は、押したり揉んだりしても、ストレッチしても、捻ってバキバキ鳴らしても、絶対に柔らかくなることはなく、逆にコリや痛みが悪化してしまうのです。
首や肩をゆるめる秘訣
首や肩を安全にゆるめるには、どうしたらよいでしょうか?
その秘訣をお教えしましょう!
「ロイヤルアメイジング・クリーム」をすり込んでいくのです。
主成分は、無臭のココナッツオイルです。皮膚から浸透したオイルが、筋肉にたまった疲労物質をリンパに排出させていくのです。疲労物質が筋肉から排出されると、筋肉がゆるんで柔らかくなります。
どこにすり込めば、首や肩が楽になるでしょうか?
首(胸鎖乳突筋)をマッサージすると、リンパ腺が腫れてしまう恐れがあります。
ですから胸鎖乳突筋ではなく、「大胸筋」をマッサージしてゆるめるのです。大胸筋がゆるめば、胸鎖乳突筋がゆるんで柔らかくなります。
次に、「咀嚼(そしゃく)筋」をゆるめます。噛むための筋肉群ですが、食事のときの咀嚼ではなく、ストレスによって無意識にしている「噛みしめ」によって疲弊して硬くなっているのです。
ですから顎関節の周囲にすり込んで、咀嚼筋をゆるめます。
大胸筋と咀嚼筋がゆるめば、胸鎖乳突筋がゆるんで首がとても楽になります。
続いてお腹をマッサージして、腸内ガスを抜きます。
ガスでお腹が張っていると迷走神経が緊張するので、首(胸鎖乳突筋)が硬くなってしまうのです。
「ロイヤルアメイジング・クリーム」をお腹にすり込みながら適度な圧をかけると、ガスが腸から血液に吸収されて、肺から呼気とともに少しずつ排出されていきます。
ガスが抜けると、お腹の圧痛やシコリがなくなり、とても柔らかいお腹になります。
最後に、腰のサイドから大腸(右は上行結腸、左は下行結腸)を押さえます。
しばらく押さえていると、肩がゆるんで柔らかくなります。
そうして肩がゆるんだら、『肩甲骨を背骨に寄せる』ように動かします。つまり、『僧帽筋を縮める』のです。すると胸が開いて、背骨が良い形になります。
[i] Mail Online: Stretching before exercising could actually CAUSE an injury – and make you slower