不安が引きおこす症状
不安になるだけで、身体に様々な症状が引きおこされます。
たとえば神経過敏やアレルギー、首肩のコリ、腰痛や膝痛、腹痛や胃酸の逆流、息が吸えない、不眠や動悸や胸痛、そしてパニック発作などといった症状です。
不安によって、なぜ身体に様々な症状が出るのでしょうか?
腸内ガスが痛みと不安を増大させる!
様々な症状に悩まされている人たちのお腹に触れると、ガスでパンパンになっていることが多いです。なぜかというと、野菜・豆・芋・キノコ・雑穀などをたくさん食べているからです。通常、これらの食品は食物繊維が豊富だから胃腸に良いと言われています。
ところが食物繊維が多く含まれる食品をたくさん食べると、腸内ガスが多く発生して、大腸が膨満してしまうのです。
S状結腸や下行結腸が膨満すれば、左の足腰への血管が圧迫されて、左側に腰痛・坐骨神経痛・股関節痛・膝痛がおきます。
胃のすぐ前に横行結腸が通っているので、横行結腸が膨満すると胃が圧迫されて、胃酸が逆流したり胃が重苦しくなったりします。
さらに、ガスで横隔膜が押し上げられると息が十分に吸えなくなり、心臓も圧迫されます。このような症状を「ロエムヘルド症候群」といいます。20世紀初めに内科医ルートヴィヒ・フォン・ロエムヘルドが発見した症状で、心臓の圧迫によって狭心症をおこしたり突然死したりすることもあります。また、不安が増大してパニック発作が誘発されることもあります。
つまり、食物繊維を多く摂ることで腸内ガスが大量に発生して、大腸が膨満することによって胃や血管だけでなく、呼吸や心臓も圧迫されて、不安も増大するのです。
不安になると、胃腸が悪くなるワケ
不安になると、脳からノルアドレナリンに続いてヒスタミンが分泌されます。
ノルアドレナリンは交感神経が緊張すると分泌される神経伝達物質で、過剰に分泌されると胃腸の働きが抑制されます。また、血圧と心拍数が上がります。
ヒスタミンは血液中の免疫細胞(肥満細胞)から分泌されて、皮膚や粘膜に痒みや蕁麻疹が出たり、鼻炎や咳や喘息をおこしたりしますが、不安によって脳からも分泌されるのです。
ヒスタミンは覚醒物質の一つですから、まず眠れなくなります。
ヒスタミンは、胃酸の分泌を促します。それによって胃炎や胃潰瘍が誘発されます。
ヒスタミンは胃酸の分泌は促すのに、胃腸の動きは止めてしまいます。それによって腸内ガスが増えて、便秘になります。
胃酸が逆流するのは、ヒスタミンによって空腹時にも胃酸が分泌されて、ガスで膨満した横行結腸に胃が圧迫されるからです。
機能性ディスペプシアも、ヒスタミンによって胃の動きが止まるからかもしれません。
マッサージで痛くなる理由
「首や肩が非常に凝っていて腰も痛いのに、マッサージをしてもらうと、しばらく経ってからかえって痛くなってしまう、あるいは蕁麻疹が出る」という人がいます。こういう人たちは、常に不安によってヒスタミンが過剰に分泌されているのです。
ヒスタミンは血管にも作用して、些細な刺激でも痛みや蕁麻疹を引きおこすのです。
パニック発作がおきるプロセス
腸内ガスによる横隔膜の圧迫と強い不安によって、自ずと呼吸が速くなります。速い呼吸を続けていると過呼吸になり、血中の二酸化炭素が減少してアルカローシス(血液のpHがアルカリ性に傾くこと)になります。
すると全身がむず痒くなって、指や手がしびれてきます。やがて全身が針でチクチク刺されている感じがして、脈が速くなり心臓がバクバクして、震えや筋肉の痙攣(テタニー)がおきて、意識を失いそうになります。これが「パニック発作」です。
パニック発作がおきたときにはアルカローシスになっていますから、重曹を飲むのは逆効果です。二酸化炭素が減っているだけでなく脱水と低血糖にもなっていますから、水と二酸化炭素とナトリウムとカリウムとブドウ糖を一体補給するのが効果的です。
パニックを時々おこす人は、シェーカーに「やさしお2gとブドウ糖10g」を入れて携帯して、いつでも水または炭酸水を加えて飲めるようにしておくとよいでしょう。
不安思考が習慣化している
不安によっておきる様々な症状に悩まされている人たちは、みんな「不安思考」が十分に育ってしまっています。
たとえば、ある出来事を見聞きしたときに、すぐに悪いことを想像して、最悪の事態になった状態まで考えてしまうのです。まだ実際そうなってもいないし、そうなるとも限らないのに、「こうなったらどうしよう」「ああなったらどうしよう」とあれこれ思い悩んでしまうのです。何を見聞きしても、すぐにこのように考えるクセが染み付いているのです。そのような不安思考が子供のときに身について、それが習慣化してしまっているのです。そのため、脳の不安思考が成長してしまったのです。
反対に、楽観的な人たちは、同じ物事を見聞きしても良いことを連想して、取らぬタヌキの皮算用までして密かに楽しんでいるのです。
また鈍感で、何も考えることさえしないという人たちも多くいます。
つまり、同じ物事を見聞きしても、①最悪の事態を連想していく人、②楽しいことを連想していく人、③鈍感で何も考えない人、といった3者に分かれるのです。
このうち①の人たちだけが、不安によってどんどん具合が悪くなっていくのです。
そういう人たちは、どうすればよいでしょうか?
一番良いのは、楽観的な人たちの思考を『真似する』ことです。楽観的な思考をする人たちの考え方を見習うようにするのです。そうして真似しているうちに、徐々に楽観思考が身についていくのです。不安思考とまったく真逆の思考パターンを育てていくのです。
そうすれば徐々にヒスタミンの分泌が減っていき、胃腸の働きが良くなって栄養が十分摂れるようになり、アレルギー症状や過敏症なども軽減されていくでしょう。
胃腸に良い食事とは?
一般的に、食物繊維は腸のぜん動を活発にして、腸内の善玉菌を増やすから胃腸に良いと言われています。
しかし、食物繊維は消化できないので、腸内細菌が分解してガスを発生します。だから過剰に摂ると、ガスが大量に発生して大腸が膨満してしまいます。
大腸には、人間の細胞の数よりはるかに多い腸内細菌が棲息しています。大腸がガスで膨張すると、腸壁が引き伸ばされて腸内細菌が血液に侵入しやすくなります。大腸から血液に細菌が侵入すると免疫が働いて、炎症性サイトカイン(「炎症をおこせ!」というメッセージ物質)が増えます。
炎症性サイトカインは血液によって全身を巡り、脳にも流入します。それによって脳の免疫細胞(ミクログリア)が活性化すると、「キヌレニン」という神経毒が生成されます。キヌレニンはセロトニンの生成と伝達を妨げて、神経細胞を過剰に興奮させて消耗させて、最終的には殺してしまいます。こうしてセロトニンの生成と伝達が破壊されることで、うつ病になってしまうのです。
つまり、ガスで膨満した大腸から腸内細菌が侵入することによって、うつ病になってしまうかもしれないのです。ですから、大腸で大量にガスが発生する食事は良くないのです。
ガスをもっとも発生するのは、食物繊維です。
食物繊維が多いのは、野菜(とくにゴボウやレンコン)、果物(とくにバナナ、リンゴ・イチジク・柿)、豆類(豆腐や枝豆・煮豆や厚揚げ・おからやキナコなど)、芋類(サツマイモ・里芋・山芋・コンニャクなど)、キノコ類(舞茸・エリンギ・シメジ・エノキなど)、雑穀(大麦・小麦・ライ麦・はと麦・ヒエ・アワ・キビなど)などといった食品です。
これらの食品は、食事全体の1割以内にすることです。
反対に、食べてもよい食品は、白米のご飯、味噌汁、肉、魚貝、卵、納豆、海藻(海苔・ワカメ・ヒジキ・モズク・アカモクなど)です。このようなシンプルな食事で必要な栄養はすべて摂れますし、ガスもだいぶ減ります。
味噌や納豆は発酵によってレクチンが分解されているため、リーキーガットの原因にはなりません。しかし、大量に摂ればイソフラボンの過剰になります。イソフラボンは女性ホルモン作用があり、過剰に摂り続けると乳ガンや大腸ガンのリスクが高くなります。したがって納豆は、1日1パック(50g)までにしたほうが安全です。
不安を強める生薬
精神症状を悪化させる生薬もあります。
その代表が、朝鮮人参(高麗人参、田七人参)です。朝鮮人参は、十全大補湯、補中益気湯、大建中湯、人参四物湯、人参養栄湯など38種の漢方薬に配合されています。
主成分は「ジンセノシド」で、ほかにゲルマニウムや鉛やカドミウムといった重金属や有機塩素系農薬が含まれている製品もあります。
ゲルマニウムには腎臓毒性がありますし、鉛やカドミウムや農薬は痛みや神経障害や免疫異常などの原因になります。
そして主成分のジンセノシドは、慢性不眠、神経過敏、軟便などをおこす恐れがあり、うつ病を悪化させます。また女性ホルモン作用もあるため、子宮の不正出血をおこす恐れもあります。
麻黄の主成分である「エフェドリン」は咳止め剤として利用されていますが、常用するとうつ病や統合失調症などの精神障害、心筋障害、脳卒中、肝機能障害、薬疹、肺炎、排尿障害などを引きおこす恐れがあります。麻黄は、葛根湯、麻黄湯、小青龍湯、ヨクイニン湯、麻黄附子細辛湯、防風通聖散など16種の漢方薬に配合されています。