アレルギーを改善する秘訣③腸壁バリア
アレルギー体質を改善するには、腸から未消化タンパク質や腸内細菌の侵入を防ぐことが大事です。
つまり、リーキーガットを改善することが、抗体を減らしていく秘訣なのです。
腸壁バリアを壊す要因
腸壁バリアが壊れた状態が、リーキーガットです。アレルギー体質を改善するには、リーキーガットを修復して腸から未消化タンパク質や腸内細菌の侵入を防ぐことが重要です。
それには、まずリーキーガットの原因をできるだけ排除することが大事です。
「リーキーガットの主な原因」は、次のようなものです。
- 抗生物質・痛み止め(非ステロイド消炎鎮痛剤)・漢方薬
- 小麦(グルテン)
- 大豆(レクチン・サポニン)
- 果物・砂糖(果糖)
- 食物繊維
- ランニング
抗生物質や痛み止めが胃腸を悪くすることはよく知られていますが、漢方薬は意外でしょう。しかし、漢方薬も「毒」を利用した対症療法にすぎません。
例えば、毒蛇に噛まれたら血圧が急降下して死んでしまうという毒を、「血圧を下げるために使えないか?」というのが薬学の基本です。「どのくらいの血中濃度であれば安全かつ有効なのか?」を調べて、薬として使える量を決めて製品化していくのです。
漢方薬は、「どの成分をどのくらい摂れば安全かつ有効な血中濃度になるのか?」科学的に調べられているわけではなく、あくまで経験的に利用されてきただけです。そのため「多ければ多いほど早く効くだろう」と考えて摂りすぎるとさらに具合が悪くなることもあり、なかには重篤な副作用が出ることもあるのです。毒ですから、摂りすぎれば毒作用が現れて当然です。飲み続ければリーキーガットになって、アレルギーも悪化するのです。
つまり、アレルギーを漢方薬で治すことはできないのです。
小麦のグルテン、大豆のレクチンやサポニンなどの成分は、腸の栄養を吸収する細胞同士の結合をゆるめてリーキーガットを引きおこします。
レクチンは、植物が鳥や虫に食べられないためにつくる「毒」です。グルテンもレクチンの一種です。レクチンやグルテンを常食していると、リーキーガットが助長していきます。
レクチンを多く含む食物は、玄米や雑穀(大麦・小麦・ライ麦・ハト麦・稗・粟・キビ・キヌアなど)、豆類(大豆・小豆・レンズ豆・ヒヨコ豆・ナタ豆・インゲン豆・ナッツ類など)で、ナス科の野菜(ナス・トマト・ジャガイモ・ピーマンなど)やウリ科の野菜(キュウリ・カボチャ・スイカ・ズッキーニ・冬瓜・ゴーヤなど)にも含まれています。とりわけ多いのは、外皮と胚芽の部分です。
もっともよく知られているレクチンは、ジャガイモの「ソラニン」でしょう。
ジャガイモの芽に含まれている猛毒で、食べると食中毒をおこします。ソラニンは水溶性なので煮汁に溶け出して、いくら加熱しても毒性が消えることはありません。したがってジャガイモの芽は、深く大きくえぐり取ることが大事です。
また、皮が緑色になったジャガイモや成長未熟なミニジャガには、全体にソラニンが充満していますから丸ごと捨てないといけません。
しかし、ソラニンさえ除去すればジャガイモは食べても大丈夫です。ただし、油で揚げると発ガン性のある老化物質:AGEs(アクリルアミド)が生成されてしまうので、茹でるか蒸すかして食べるほうがいいでしょう。
食べないほうがいいのは、玄米や雑穀、豆類です。とりわけ豆腐や豆乳、枝豆や煮豆、厚揚げやガンモドキ、キナコやおからなどは徹底して避けるべきです。
サポニンは「シャボン(石けん)」の意味で、水と油を溶かす作用(界面活性作用)があります。サポニンが多い食品をたくさん食べると、胃腸の粘膜の細胞膜が溶けてしまうので、胃炎やリーキーガットになってしまいます。サポニンが多い食品は、玄米と大豆です。
糠漬けを食べるときは、糠をよく洗い落とすことが大事です。糠にサポニンが多く含まれているからです。
果物や果汁に含まれている「果糖」は、腸内カンジダの大好物です。砂糖は、ブドウ糖と果糖が半々ずつ結合した糖ですから、半分は果糖です。黒砂糖でも同じです。果糖ブドウ糖液糖は、半分以上を果糖が占めています。
果糖を摂るほどカンジダが増殖します。カンジダは菌糸を伸ばして腸壁に穴をあけ、血液に侵入して免疫力を狂わせます。そのため、アレルギー症状が悪化します。
つまり、果糖を摂るほどアレルギーが悪化するのです。
食物繊維は、実に意外でしょう!
「アレルギー体質を改善するには、食物繊維を多く摂るのが有効だ」と言われていますが、実は食物繊維を過剰に摂るとアレルギーが悪化するのです!
食物繊維は胃腸の消化酵素で消化されないため、腸内細菌が分解します。すると発酵して、ガスが発生します。
このガスによって、大腸が膨満します。ガスで膨満すると腸壁が引き伸ばされて、腸内細菌が血液に入りやすくなります。
血液に細菌が侵入すると、免疫細胞が働いて「炎症」がおきます。それによって血液中に「炎症性サイトカイン」が増えます。炎症性サイトカインは「炎症をおこせ!」というメッセージ物質です。
全身に「炎症をおこせ!」というメッセージ物質が循環することで、些細な刺激でも炎症がおきやすくなります。だから、アレルギーが悪化してしまうのです。
つまり、食物繊維を摂るほどガスがたくさん出て、膨満した腸から腸内細菌が侵入して炎症がおきやすくなるのです。
ランニングも意外でしょう!
ランニングで腸管が揺さぶられると「腸温」が上がって、リーキーガットになってしまうのです。同じことは、食後に入浴することでもおこります。ですから、入浴は食事の前にするのが望ましいのです。
ランニングでも入浴でも腸温が上がると、食事で摂取したタンパク質が未消化なまま腸から吸収されてアレルギーがおきるのです。
リーキーガットを改善するには、まず原因となるものをできるだけ排除することが大事です。
腸壁を修復するアミノ酸
腸壁を修復するアミノ酸が、グルタミンとグルタミン酸です。
グルタミンは胃腸の主なエネルギー源で、リーキーガットを修復するには不可欠です。
1回5gを水に溶かして、1日2~3回摂るといいでしょう。
グルタミンは熱と酸に弱いので、お湯で溶かしたり、クエン酸やビタミンCと混ぜたりしてはいけません。
グルタミン酸は、昆布や鰹節や椎茸などから抽出されるダシ=「旨味成分」です。
グルタミンと同じくグルタミン酸にも胃腸の粘膜を保護・修復していく作用があります。
グルタミンと違って熱や酸にも強いので、料理に適しています。食事がおいしくもなって胃腸に良いのですから、ありがたいアミノ酸です。
グルタミンやグルタミン酸を適度に摂取していけばリーキーガットが修復されていって、腸から未消化タンパク質や腸内細菌が侵入しにくくなっていきます。すると徐々に「抗体」が減っていき、その結果アレルギーがおきにくくなっていきます。
肌質を改善するグリシン
グリシンは、ホタテやエビ、カニ、イカ、マグロなどに含まれる甘いアミノ酸です。
グリシンを就寝前に3g飲むと、肌の水分量が増えて肌バリアが強化されます。
つまり、グリシンを毎晩飲んでから寝れば肌質がどんどん改善されていくのです。
そして肌質が良くなれば、皮膚からタンパク質が侵入しにくくなり、タンパク質の侵入が減れば「抗体」も徐々に減っていくのです。その結果、アレルギーがおきにくくなっていきます。
口腔アレルギーをおこす食物
あるタンパク質に対して攻撃するようにつくられた抗体は、「構造が似たタンパク質」も攻撃するようになります。これを「交差反応」といい、構造が似たタンパク質を含む食物を食べると口腔アレルギーや蕁麻疹をおこします。
例えばスギやヒノキの花粉症の人は、トマトを摂取すると蕁麻疹が出たり、唇や口の中の粘膜が腫れたりただれたり痒くなったり、喉に異常を感じたりといった口腔アレルギーをおこします。
ラテックスアレルギーの人は、バナナ・栗・キウイ・アボカド・ジャガイモ・トマトを食べると「ラテックスフルーツ症候群」といわれる口腔および全身のアレルギーをおこしやすく、マンゴー・メロン・パイナップル・パパイヤ・桃・リンゴ・ネクタリン・パッションフルーツ・イチジク・グレープフルーツ・ニンジン・ホウレン草などでもアレルギーをおこすことがあります。
シラカバアレルギーの人は、リンゴ・桃・サクランボ・梨・イチゴ・梅・ビワ・アーモンド・スモモ・キウイ・セロリ・ニンジン・トマト・ジャガイモ・クルミ・大豆・ピーナツ・へーゼルナッツなどを食べると、口腔アレルギーがおきます。
カモガヤアレルギーの人は、メロン・スイカ・トマト・ジャガイモ・バナナ・オレンジ・セロリ・キウイ・ピーナツなどを食べると口腔アレルギーがおきます。
ブタクサアレルギーの人は、メロン・スイカ・ズッキーニ・キュウリ・バナナを食べると口腔アレルギーがおきます。
ヨモギアレルギーの人は、セロリ・ニンジン・キウイ・ピーナツ・マンゴーなどを食べると口腔アレルギーがおきます。
このように、食べるとアレルギーをおこす食物はできるだけ避けるほうがいいでしょう。