副交感神経緊張型・自律神経失調症の改善法

自律神経失調症には2タイプある

自律神経は、意思に関係なく内臓や血管などの機能を調整している神経系で、交感神経と副交感神経から成り立っています。

交感神経は、仕事や運動などをするときに働く神経系で、心身を興奮させます。

副交感神経は、食事や入浴、睡眠などといったときに働く神経系で、心身をリラックスさせます。

自律神経が失調すると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできなくなります。

この自律神経失調症には「交感神経の緊張型」と「副交感神経の緊張型」の2タイプあります。

 

交感神経の緊張型」の人がなりやすい症状は、『高血圧・ホットフラッシュ・胃潰瘍・緊張型頭痛・動悸・不眠・不安感・糖尿病・ガン』などといったものです。

 

一方、「副交感神経の緊張型」の人がなりやすい症状は、『低血圧・冷え性・腹痛・腹部膨満・偏頭痛・PMS(生理前症候群)・生理痛・膀胱炎・発熱・慢性疲労・倦怠感・朝起きられない・抑うつ・アレルギー・アトピー・喘息・気管支拡張症・リウマチや橋本病や潰瘍性大腸炎などの自己免疫性疾患』などといったものです。

 

このように正反対なので、治療法も逆になるのです。

交感神経の緊張型はリラックスすることが有効ですが、副交感神経の緊張型はリラックスすると逆に悪化してしまうのです。

 

「自律神経と免疫と炎症」の関係

「いつも体調が悪い、だるい、朝起きられない、アレルギー体質で花粉症やアトピーや喘息などがある」といった人たちは、副交感神経の緊張型です。

こういった症状を改善するには、『自律神経と免疫と炎症』の関係を知ることが重要です。なぜかというと、知らないと「逆のこと」をしてしまうからです。

まず理解すべきことは、「炎症は、免疫細胞が働くからおきる」ということです。例えば体内に侵入した病原菌を、免疫細胞が攻撃するから炎症がおきるのです。ステロイドで炎症が治まるのは、免疫細胞の働きを弱くするからです。だからステロイドは「免疫抑制剤」と言われています。

つまり、「免疫が強く働くと炎症がおきる」「免疫の働きを抑えれば炎症が治まる」ということです。

 

次に、「免疫細胞と自律神経」の関係です。

交感神経が緊張すると、免疫力が低下します

副交感神経が緊張すると、免疫力が高まります

 

では、『自律神経と免疫細胞と炎症』の関係です。

交感神経が緊張すると、免疫力が低下して、炎症が治まります

副交感神経が緊張すると、免疫力が高まって、炎症が悪化します

理解できましたか?

 

免疫力が高いことが、必ずしも良いとは限らないのです。免疫力が過剰に働くと、アレルギーやリウマチのような「不必要な炎症」がおきやすくなるからです。

副交感神経が緊張すると、免疫力が過剰に働いて、炎症がおきやすくなるのです。

だるいのは、身体のどこかに炎症があるからです。花粉症(鼻炎)、喘息(気管支炎)、扁桃炎、中耳炎、皮膚炎、胃炎、下痢(大腸炎)、関節炎、膀胱炎、膣炎などと、最後に「炎」がつくものはすべて炎症なのです。

生理痛は「子宮内膜の炎症」で、子宮筋腫や子宮内膜症に進行することもあります。

うつ病や偏頭痛は「脳の炎症」で、パニック障害や統合失調症へ進行することもあります。

身体のどこかに炎症がおきると、副交感神経が強く緊張します。それによって交感神経が働かなくなるから、朝起きられないのです。

 

副交感神経が緊張する「原因」とは?

副交感神経が緊張する根本的な原因は、『リーキーガットと腸内ガス』にあります。

リーキーガットとは、『腸粘膜の栄養を吸収する細胞同士の結合がゆるんだ状態』です。

リーキーガットになると、本来ならば吸収されない未消化なタンパク質や腸内細菌などが血液に侵入します。すると腸の免疫細胞が「異物が侵入した」と判断して、異物を排除しようとするため、炎症がおきます。この炎症はごく軽度なものなので、痛みや発熱などの自覚症状はありませんが、血液中の「炎症性サイトカイン」が増えます。炎症性サイトカインは、すべての免疫細胞に「炎症をおこせ!」と伝えるメッセージ物質です。その結果、全身のあらゆる箇所に炎症がおきやすくなります。

つまり、リーキーガットになると血液中に炎症性サイトカインが増えて、炎症がおきやすくなるのです。そして炎症によって、副交感神経が緊張するのです。

 

腸内ガスが過剰に発生すると、膨満して引き伸ばされた腸壁から腸内細菌が血液に侵入しやすくなります

わずか30gの糖質が発酵すると、10リットルもガスが発生する」ことが、アメリカの胃腸病専門医であるノーマン・ロビラード博士の実験で分かっています。腸でたくさんガスが発生すると、お腹が張って苦しくなったり、横隔膜の動きが妨げられて十分に息が吸えなくなったり、腹痛や下痢や便秘をくり返す「過敏性腸症候群」になったりします。

また腸内ガスは、胃に流入します。そのガスがゲップで抜けるときに、胃酸が逆流して食道がただれます。すると逆流性食道炎になって、胸焼けがしたり空咳が出たりするようになります。

そして、「腸内ガスとともに腸内細菌も食道に移動して、食道からさらに気管支や副鼻腔などに移動して気管支炎や鼻炎や蓄膿症になる」ことが、ノーマン博士によって証明されています。

このように腸内細菌が異常に増殖すると、ガスがたくさん発生するようになり、胃腸がパンパンに膨張します。すると、脳は「食後」とみなして副交感神経の働きを強めます。そのため、いつも副交感神経が緊張した状態になるのです。

 

要するに、リーキーガットと腸内ガスによって、副交感神経が緊張するのです。

では、リーキーガットと腸内ガスの原因は何でしょうか?

もっとも大きな原因は、『雑穀と豆類』です。

玄米や小麦や大麦、はと麦、キビ、アワ、ヒエ、キヌアなどといった雑穀類と、大豆をはじめすべての豆類には、リーキーガットを引きおこす「レクチン」が含まれています。

レクチンは、植物が鳥や虫に食べられないようにつくる「毒」で、とくに外皮や胚芽に多く含まれています。レクチンが多く含まれている雑穀や豆類を毎日食べていると、腸の粘膜がただれてリーキーガットになってしまうのです。

また雑穀と豆類には、「食物繊維」もたくさん含まれています。食物繊維は腸に良いと言われていますが、腸で消化できないので腸内細菌が分解します。すると、発酵してガスが出ます。ですから食物繊維をたくさん摂るほど、腸内細菌が増殖して、腸内ガスが多く発生することになるのです。

つまり、身体に良いと信じてわざわざ食べている『雑穀と豆類』によって、腸がどんどん悪くなっていくのです。

また、食物繊維の多い野菜(玉ネギ・ゴボウ・レンコンなど)や芋類(サツマイモ・里芋・山芋・コンニャク)、キノコ類、タケノコや山菜なども、腸内ガスをたくさん発生させます。とりわけキノコは「食用のカビ」ですから、腸内細菌をどんどん増殖させてしまいます。

さらに、「青野菜」も腸を悪くします。

ホウレン草や小松菜、チンゲン菜、春菊、ニラ、モロヘイヤ、パセリ、大根の葉などの緑色は、葉緑素ではなく「硝酸態窒素」の色です。硝酸態窒素は、胃に入ると発ガン性物質の「ニトロソアミン」に変化して、大腸ガンや糖尿病や腎機能障害などの原因になります。ですから硝酸態窒素が多い青野菜をいつも食べていると、胃腸の粘膜がただれてリーキーガットになってしまいます。

ちなみに硝酸態窒素は、青汁や緑茶(とくに抹茶や玉露)にも多く含まれています。

 

ヨーグルトも、決して腸に良いわけではありません

ヨーグルトの原料である牛乳には、アレルギーの原因になり得るタンパク質「カゼイン」と、腹痛や下痢の原因になる「乳糖」が含まれています。

ヨーグルトは、乳糖が分解されてガラクトースになっていますが、「ガラクトースが、乳ガンや卵巣ガン、大腸ガンや前立腺ガンなどのリスクを高める」ことが分かっています。

またヨーグルトの乳酸菌は、腸内に棲みつかないことも明らかになっています。摂取した乳酸菌は腸の粘液層に隔たれて粘膜には入り込めないので、生後から棲息している菌と入れ替わることはないのです。

 

要するに、「健康に良い」と言われている食品をいつも食べていることで腸が悪くなり、副交感神経が緊張した状態になるのです。

 

副交感神経の緊張型を治すポイント

副交感神経がいつも緊張している人は、まず健康食常識を変えて、食生活を変えることが大事です。しかし食事だけで体調を改善していくのは、かなり時間がかかります。胃腸が悪いために栄養が十分に摂れないことで、筋肉量が減ったり貧血になったり基礎代謝が低下したりしていることが多いからです。

長年にわたって栄養が不足していた人は、栄養が脳や筋肉に満ちてくるのに最低、半年はかかります。そこから徐々に体調が回復していくのです。

しかし、リーキーガットを助長させ腸内ガスを多く発生する食生活(とくに菜食)を20年も30年も続けてきたという人は、3年くらいかかるかもしれません。

 

施術によって腸の改善を促すことはできます。

施術のポイントは、「首」にあります。

首の両側に、「胸鎖乳突筋」があります。耳の後ろから、鎖骨と胸骨にかけて付いている筋肉です。

胸鎖乳突筋の奥には、頚動脈と頚静脈に並んで「迷走神経」が通っています。

迷走神経は副交感神経の一つで、胸部と腹部の内臓全体に分布しています。この迷走神経が、脳からの司令を伝えるとともに、内臓の状態を脳に伝えているのです。

副交感神経が緊張している人は、首(胸鎖乳突筋)がガチガチに硬くなっています

 

胸鎖乳突筋をゆるめるポイントは、「大胸筋」にあります。

大胸筋をゆるめると、胸鎖乳突筋がゆるむのです。

そして胸鎖乳突筋がゆるむと、迷走神経の緊張が取れて、胃腸の働きが高まります

それから、お腹をオイルマッサージして腸内ガスを抜きます。すると、お腹の鈍痛や膨満感がなくなり、食欲が高まって栄養がしっかり摂れるようになります。

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