水を飲むほど『脱水』になる⁉
身体の水分量が減ると「乾燥症状」が現れる
身体の水分量は、生まれたときは80%もありますが年齢とともに徐々に減っていき、成人では65~70%に、中年になると50~65%になり、高齢になると40~50%ほどになってしまいます。身体の水分が減ることで、様々な「乾燥症状」が出るようになります。
例えば、乾燥肌による痒みや湿疹、ドライアイによる目の痛みや視力の低下、ドライマウスによる舌の痛み、喉がイガイガしたり空咳が出たり声枯れになったりする症状などです。ふくらはぎや足の裏が攣るのも、脱水症状です。また、血液がドロドロになることによって血圧が高くなり、脳梗塞や心筋梗塞や痛風などのリスクも高くなります。
このような乾燥症状を改善するために、水をたくさん飲むようにしている人も多いでしょう。しかし、いくら水を飲んでも脱水は改善されないどころか、かえって脱水が進んでしまうのです。
水を飲むほど「脱水」になるワケ
水を飲んでも、すぐに尿で出てしまいます。尿はナトリウムとカリウムが含まれた塩水です。「水を飲んで塩水が出ていく」のですから、水を飲めば飲むほど体内のミネラルが減っていきます。その結果、ますます脱水になってしまうのです。また、水を飲んでから寝ると、夜中に何度もトイレにいくことになって、眠りも妨げられてしまいます。
発汗も同じです。運動やサウナ、半身浴などで汗をたくさんかくほど、血液中の水分は減ってドロドロになります。汗も塩水ですから、汗をかくほど体内のミネラルが失われます。ですから、いくら水を飲んでも脱水になってしまうのです。
つまり、体内のナトリウムとカリウムが減るほど「保水力」がなくなるのです。
体内の水はナトリウムと結合していますから、ナトリウム量と水分量は比例します。塩(塩化ナトリウム)を摂りすぎると血圧が上がるのは、血液中にナトリウムが増えることで血液量が増えるからです。
では、カリウムが不足するとどうなるでしょうか?
腎臓は、糸球体で血液をろ過しています。その量は1日180リットルにも及びます。しかしその大半(99%)を、尿細管で再吸収して血液に戻しています。
ところがカリウムが不足すると、尿細管の再吸収の力が弱くなります。すると、尿量が増えます。尿がたくさん出るほど、血液中の水分が減ってドロドロになります。つまり、カリウム不足によって腎臓の尿細管の再吸収の力が低下して、尿量が増えることによって血液中の水分量が減る。これが、脱水になる基本的なしくみです。
そして脱水によって、様々な乾燥症状が現れるようになるのです。しかし、水をいくら飲んでも改善はしません。水を飲むほど尿からカリウムが排出されていくので、ますますカリウムが足りなくなってしまうからです。
また、カフェインやアルコールには利尿作用がありますから、飲んだ量以上の水分が排出されます。ですからお茶やお酒をいくら飲んでも、脱水を改善することはできません。
カリウム不足になる原因
カリウム不足になる原因は、いくつかあります。
まずは、『低コレステロール』です。総コレステロールが160㎎/dl以下を「低コレステロール症」といいますが、180㎎/dl以下で不足と考えてよいでしょう。元気な人は240~280㎎/dl前後あります。
なぜ低コレステロールが、カリウム不足の原因になるのでしょうか?
それは、血液中のカリウムを保持しているのはコレステロールだからです。コレステロールは、①細胞膜や神経の材料、②炎症を治す副腎皮質ホルモンの材料、③若さと意欲の源である性ホルモンの材料ですから、まさに「生命力のバロメーター」といえる物質です。
このコレステロールが、血液中のカリウムを正常レベルに保っているのです。ですから、コレステロール降下剤(スタチン剤)などで下げてしまうのは良くないのです。スタチン剤を飲んでいなくてもコレステロール値が低い場合は栄養失調ですから、もっと栄養をしっかり摂るようにしないといけません。
カリウムが排出される要因もたくさんあります。
一つは、『ストレス』です。精神的ストレスだけでなく、手術や事故や痛みなどといった肉体的ストレスでも、カリウムが多く排出されてしまいます。ストレスによって副腎皮質ホルモンが分泌されると、カリウムが細胞から血液に移行して、どんどん尿で排出されてしまうからです。
『大量の発汗や下痢』でも、カリウムが多く排出されてしまいます。
『薬』にも、カリウムの排出を促すものがいくつかあります。
例えば、気管支拡張剤、ステロイド剤、甲状腺ホルモン剤(チラージン)、利尿剤、甘草(グリチルリチン酸)などといったものです。
いずれかの原因でカリウム不足になっている場合は、カリウムを多めに補うことが必要です。腎機能が低下している人を除いて、カリウムはいくら摂ってもまったく問題ありません。
脱水を治す「補水液」
脱水を治す秘訣は、『水とナトリウムとカリウムを併せて摂る』ことにあります。
さらに、『ブドウ糖を一緒に摂る』ことも重要です。ブドウ糖は細胞で代謝されると、水を生むからです。ブドウ糖は細胞内(ミトコンドリア)で、エネルギー(ATP)と二酸化炭素と水に変わるのです。ですからブドウ糖を一緒に飲めば、飲んだ量以上の水分を補えるのです。
またブドウ糖は、筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。グリコーゲンは「ブドウ糖と水」が結合したものですから、筋肉グリコーゲンが多いほど弾力性のある筋肉になり、張りと潤いのある瑞々しいお肌になります。
ミネラルやブドウ糖が摂れるのが、経口補水液です。しかし、市販されている経口補水液は果糖や人工甘味料が入っていて、糖分も多すぎる(血糖濃度の50~70倍)ので、自分で作るほうが安全です。
身体の水分量を増やす「松原式補水液」の作り方は、以下の通りです。
水/お湯:500ml
やさしお:2g
ブドウ糖:10g
クエン酸:少々
「やさしお」は、自然塩とカリウム塩を半々ずつブレンドした塩です。
これらを混ぜて作った補水液を1日に数回に分けて飲むようにすれば、身体の水分量を徐々に増やしていけます。すると徐々に張りと潤いのあるお肌になっていき、筋肉の弾力性も回復してコリや痛みが減り、足が攣ることもなくなります。
また、血液がサラサラになることで高血圧が正常に下がり、脳梗塞や心筋梗塞の予防にもなるでしょう。
▶「松原式補水液」の作り方の解説動画はこちら
https://youtu.be/5S133vySiaI
https://youtu.be/XCKzHm54XSg